
LHMEとは、Lunar Human Mission Explorationの略で、月面に人間を送る計画のことです。日本はこの計画に参加しており、2023年には月面に日本人が降り立つ予定です。しかし、LHMEの実現にはさまざまな課題があります。この記事では、LHMEの目的、内容、スケジュール、課題などについて解説します。
LHMEの目的は、月面での人類の活動を拡大し、科学的な知見や技術的な能力を高めることです。月面には地球にはない資源や環境があります。例えば、月面では重力が地球の約6分の1しかなく、太陽光も強くて安定しています。これらの特徴を利用すれば、新しいエネルギーや素材の開発や宇宙探査の基地として活用できます。
LHMEの内容は、以下のようになっています。
- 2021年:アメリカがオリオン宇宙船で有人飛行を行う(Artemis I)
- 2022年:アメリカがオリオン宇宙船で月周回軌道に乗る(Artemis II)
- 2023年:アメリカがオリオン宇宙船で月面着陸を行う(Artemis III)。日本人も同乗する予定
- 2024年以降:月面での恒久的な基地(ゲートウェイ)の建設や拡張を行う
LHMEのスケジュールは、現在のところ以下のようになっています。
- 2021年11月:Artemis Iが打ち上げられる
- 2022年8月:Artemis IIが打ち上げられる
- 2023年10月:Artemis IIIが打ち上げられる
ただし、これらのスケジュールは予定であり、技術的な問題や予算的な制約などによって変更される可能性があります。特に、Artemis IIIは月面着陸を行う初めてのミッションであり、多くの困難や不確実性があります。そのため、遅延や中止の可能性も否定できません。
LHMEは人類史上初めて月面に人間を送る野心的な計画ですが、それゆえに多くの課題を抱えています。以下にいくつか挙げます。
- 安全性:月面着陸や基地建設は非常に危険な作業です。事故や故障が起きた場合、救助や修理が困難です。また、月面では宇宙線や微小隕石などの危険もあります。これらのリスクを最小限に抑えるためには、高度な技術や装備が必要です。
- 費用:LHMEは莫大な費用を要します。アメリカだけでも2024年までに280億ドル(約3兆円)の予算が必要とされています。しかし、アメリカの議会はこの予算に対して消極的であり、削減や遅配の可能性があります。日本もLHMEに参加するためには、多額の負担が必要です。
- 国際協調:LHMEはアメリカを中心とした国際協力プロジェクトです。日本のほかにも、欧州、カナダ、オーストラリアなどが参加しています。しかし、各国の利害や意見は必ずしも一致しません。特に、中国やロシアなどのライバル国との関係は緊張しています。LHMEは平和的な目的で行われるべきですが、政治的な対立や競争に巻き込まれる危険もあります。
LHMEは月面に人間を送る歴史的な計画です。月面での人類の活動は科学や技術だけでなく、文化や社会にも大きな影響を与えるでしょう。しかし、LHMEは多くの困難や不確実性を伴います。LHMEが成功するためには、高い技術力と財政力だけでなく、国際的な協調と理解が必要です。LHMEは私たちの夢を実現するかもしれませんが、同時に私たちの責任も増やします。